猫がかかりやすい病気No.1と言われる「泌尿器系」の疾患。
その中でも、「ストルバイト結石」や「シュウ酸カルシウム結石」など下部尿路疾患(尿路結石)にかかる猫ちゃんはかなり多く、獣医による治療と「特別療法食」による「食事療法」が有効とされています。
下部尿路疾患の猫ちゃんにとって、「療法食」は生きていくために、なくてはならないもの。
この「療法食」、一般のフードに比べるとどうしても割高なため、生涯食べ続けなくてはならない場合には、大きな負担となりますよね。
しかも、病院やペットショップ、ホームセンターで購入すると、ネット購入と比較して、2倍くらい高くてびっくりします。
そのほか、病院で勧められた療法食を猫ちゃんが気に入ってくれず、食べないときには、もう少し選択肢が欲しいところです。
今回、ネット購入できる下部尿路疾患のための療法食「ドライフード4種」と「ウェットフード4種」をピックアップして、特徴や価格について比較しました。
もっと安く、そして猫ちゃんが気に入ってくれる療法食を見つけてください!
ただし、療法食の購入にあたっては注意しなくてはいけないことがあります。
ただし特別な栄養特性のために栄養が偏って、健康被害を引き起こすことがあるので、療法食を与える場合には必ず医師の指示を受けること。
というものです。
以上を踏まえたうえで、購入検討してください。
参考:花王|健康レポート
安全な療法食(ドライフード)
<ロイヤルカナン>食事療法食 猫用 ユリナリーs/o(ユリナリーs/oオルファクトリー)ドライ
ロイヤルカナンは1968年、フランスの獣医師によって創業した老舗のペット用総合フード、療法食のメーカー。犬用の食品「イエロースープ」を誕生させ、これがロイヤルカナンの始まりとされる。
下部尿路疾患(ストルバイト結石症およびシュウ酸カルシウム結石症)用食事療法食
食欲をそそる独自の香り組成に調整
健康的な尿量維持のために、ミネラルなどの栄養バランスを調整
ストルバイト結石の構成成分であるマグネシウム含有量を制限(20mg/100kcal)
オルファクトリーは香りにこだわりの強い猫向けに、食欲をそそる香り組成に調整(魚肉入り)
<ヒルズ>プリスクリプション・ダイエット c/d マルチケア コンフォート
1939年、初代米国動物病院協会会長の獣医師が深刻な腎疾患の盲導犬のため、食事の改善による治療法を提唱したことが始まり。これをもとにさらに研究、改善を重ねて生まれたのが特別療法食「プリスクリプション・ダイエット」。
ストルバイト尿石、シュウ酸カルシウム尿石形成、および特発性膀胱炎に配慮した特別療法食
尿pHに配慮しミネラルのバランスを調整
加水分解ミルクプロテイン等を配合
オメガ3脂肪酸配合
ストルバイト尿石溶解時の管理は、最短7日間(平均27日間)
<デクラ>SPECIFIC FCD
SPECIFIC™FCDは、獣医製品の開発、マーケティングに携わるデンマークの企業「Dechra Veterinary Products(デクラ)」のペットフードブランド。
1819年、義肢製造メーカーとして設立、1850年代より動物用医薬品メーカーへと変遷し、1997年にMBOによって現在のデクラとなりました。
ストルバイトおよびシュウ酸カルシウム結石の再発を防ぐ特別療法食
結石の再形成を防ぐため、マグネシウムとリンのミネラル含有量を制限
適度なナトリウム含有量で、長期間の使用に適している
オメガ3脂肪酸配合
<アニモンダ>インテグラプロテクト pHバランス ドライフード
1991年ドイツの食品会社へリストからペットフード部門として創設。ペットフード分野ではヨーロッパ最大のメーカー。
フードすべての生産を自社工場で行うことができる数少ないメーカーです。
バランスのとれたミネラルが尿のpH値を6,6~6,7に保つ
穀物不耐性のネコにも適したグレインフリー
安全な療法食(ウェットフード)
療法食のウェットは、水分をとることが少ない猫ちゃんや、ドライフードに好き嫌いの猫ちゃんには、ドライと混ぜてあげることで食べてくれることがあり、とても重宝します。
<ロイヤルカナン>食事療法食 猫用 ユリナリーs/o ウェットパウチ
【主な特徴】
下部尿路疾患(ストルバイト結石症および
シュウ酸カルシウム結石症)用食事療法食
健康的な尿量維持のために、ミネラルなどの栄養バランスを調整
ストルバイト結石の構成成分であるマグネシウム含有量を制限
<ヒルズ>プリスクリプション・ダイエット c/dマルチケア シーフード缶詰(チキン&野菜入りシチュー)
ストルバイト尿石、シュウ酸カルシウム尿石形成、および特発性膀胱炎に配慮した特別療法食
尿pHに配慮しミネラルのバランスを調整
オメガ3脂肪酸配合
ストルバイト尿石溶解時の管理は、最短7日間(平均27日間)
<デクラ>SPECIFIC FCW
ストルバイトおよびシュウ酸カルシウム結石の再発を防ぐ特別療法食
結石の再形成を防ぐため、マグネシウムとリンのミネラル含有量を制限
適度なナトリウム含有量で、長期間の使用に適している
オメガ3脂肪酸配合
<アニモンダ>インテグラプロテクト pHバランス ウェットフード
ストルバイトおよびシュウ酸カルシウム結石の結石を防ぐ特別療法食
バランスのとれたミネラルが尿のpH値を6,6~6,7に保つ
穀物不耐性のネコにも適したグレインフリー
鳥、豚、鴨、仔牛、牛の5種類の風味展開
下部尿路疾患に配慮した療法食の比較一覧
上で紹介した療法食のドライ4品、ウェット4品の特徴やサイズ、価格について比較しました。
サイズや原産国、価格に違いがありますが、成分などの特徴にはあまり違いはありません。
2021.5.5現在
ドライフード比較
ウェットフード比較
ロイヤルカナンの療法食「pHコントロールシリーズ」のリニューアルについて
ロイヤルカナンの療法食「pHコントロールシリーズ」が、2年ほど前から順次、商品の統合というか(ロイヤルカナンによると「アップグレード」と表現)、商品が置き換わりました。
もともと、このpHコントロールシリーズは種類がたくさんあったので、今回の統合で、割とわかりやすく(選びやすく?)なったとはいえ、この商品を与えている飼い主さんにとっては、何がどう変わったの?どれを選べばいいの?など、疑問がある人も多いのではないでしょうか?
結石の病態に合わせて複数種類あったのに、なぜ統合できたのか?(効き目は大丈夫なの?)という素朴な疑問や、特にウェットシリーズの「pHコントロールフィッシュテイストパウチ」の置き換え品が、なぜカロリーオフタイプの「ユリナリーS/Oライトパウチ」になるのかがよくわからず…。
フィッシュってライトだったの???
ロイヤルカナンの公式サイトを見ても、そのあたりの説明がないんですよね。
飼い主としてみれば大切な猫のために、今までどんな効果があったものが、今回のアップグレードでどう変わったのか?知っておく必要があると思うのです。
療法食は獣医師の診断、指示通りに購入するので、飼い主が選ぶ必要はない、中身を知る必要はないといわれたら、どうしようもないのですが・・・
ということで、さっそくメーカーへ直接聞いてみると、
丁寧に教えてくれました(^^
いただいた回答から、わかったことを整理してみます。
旧製品名と置き換わる新製品名を図にしました。
切り替えのポイントは大きく以下の3つです。
⇒ ストルバイトとシュウ酸カルシウムどちらの結石に対しても抑制効果のある万能タイプだったpHコントロール0に集約。商品名を「ユリナリーS/O」にした。
従来チキン味、フィッシュ味の2種類
⇒ ”オルファクトリー”には魚肉を含み、それ以外はユリナリー含まない。猫の好む風味で製品を選択できるようにした。
「pHコントロールウェットパウチ」が100gあたり94kcal、「pHコントロールフィッシュテイストパウチ」は100gあたり76kcalと、フィッシュテイストはライトを謳っていなかったものの、ライトタイプ(カロリーオフ)相当であった。
⇒ 「pHコントロールフィッシュテイストパウチ」の置き換えを「ユリナリーS/Oライトウェットパウチ(100gあたり80kcal)とした。
まとめ
一般のフードでは国産が安心と言われていますが、療法食では海外のメーカーが進んでいます。
その中で獣医さんがすすめる療法食は、やはり実績の高い、ヒルズとロイヤルカナンが多いようです。
また、尿路結石の猫ちゃんでは、ドライだけでなく、ウェットも併用することで、あまり水分を取らない猫ちゃんの再発をより抑えられます。
比較した結果を以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
ヒルズ→ロイヤルカナン→スペシフィック→アニモンダの順で安く、価格面でヒルズに軍配。
グレインフリー(穀物不使用)のアニモンダが圧倒的に高い。
⇒結石だけでなく、食物アレルギーを持った猫ちゃんの選択肢になりそう。
⇒アレルギーを持たない猫ちゃんには、内臓の負担になるなどのデメリットあり。
ロイヤルカナンのみナトリウムが多い※が、それ以外の成分では大きな差はなし。
どのメーカもマグネシウムの量が100g中0.1g未満。
⇒結石の溶解や再発を防ぐよう配慮されている。
※ロイヤルカナンのpHコントロールシリーズでは、ナトリウムを高くすることで喉が乾き、たくさんの水を飲むように設計されています。
心臓、腎臓に不安のある猫、老猫には低塩分の「ユリナリーS/O エイジング7+」がおすすめです。
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