家族として一緒に過ごしていた、ペットの突然の死……
いつか必ずやってくる悲しい別れ……
そんな残酷な時が訪れたとき、いったいどうしますか?
パニックで、頭の中は真っ白、それがはじめての経験だったらなおさらです。
大切な家族同然のペットが亡くなってしまった時、
・お葬式をしなくちゃいけない?
・火葬?土葬?
・遺骨は?
・人間と一緒のお墓にいれていいの?
どうしたらいいのでしょう?
人間よりも寿命の短いペットとは、いつかお別れの時がやってきます。
私は、これまで犬や猫だけでなく、インコ、うずら、亀、熱帯魚……大切な家族との悲しい別れを経験してきました。
しかし、何度経験しても、悲しみに慣れることはありません。
つらく悲しい状況でも、亡骸は何とかしなくてはいけない……
私が幼いころには、裏の山へ埋めに行って、枯れ枝を立ててお墓にしました。
そして、つい十数年前でも、ペットの遺体はゴミ扱いで、役所へ連絡して生ゴミとして出すか、処理場へ持ち込むしかありませんでした。
私は、さすがに生ごみ扱いは嫌だったので、持ち込んで焼いてもらいましたが、「持ちこんだ」というだけで、結局処理はゴミの焼却といっしょ。骨を拾うことさえもできませんでした。
私は今、一緒に過ごしている猫たちが、いつか虹の橋を渡って新しい世界へ旅立つことになったとしても、悲しみに暮れる飼い主を見て逆に悲しまないよう、明るく送ってあげたいと考えています。
ペットたちが安心して旅立てるためには、どうしたらいいのか?
同じようにつらく悲しい思いをしている飼い主さんに向けて、解説します。
★ここでわかること
・亡くなった直後、まず何をするか、安置の方法
・葬儀と依頼について
・火葬する方法
・火葬した後のこと
・ペットとの思い出を大切に残すために
突然の別れ~ペットが亡くなったとき、どうする?

どんなに深い悲しみにあっても、変わり果てた亡骸をそのままにしておくことはできません。
これまでペットの亡骸は基本的に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって「廃棄物」つまり「ゴミ」として、自治体が認めた方法で処理されました。
それがようやく、飼い主の心情や倫理的な観点から「廃棄物」には該当しないという見方に変わり、葬儀や供養など、人間と同じように行われるようになってきました。
ここでは詳しく紹介しませんが、こんな時には「ペット葬儀屋」さんがとても力になってくれます。
遺体の引き取り、火葬、納骨、そしてお墓の手配など、飼い主さんのさまざまなニーズに対応してくれるところもあります。
滞りなく送ってあげるには、葬儀屋さんに相談するのが一番良いかもしれません。
では、自分で送り出す場合にはどうすればいいのでしょうか?
「必ずこうしなくてはいけない」というルールはありません。
しかし、遺体の扱いについては、自治体や民間の業者へ火葬をお願いすることになります。
以下に、ペットとの一般的な「お別れ」までの流れを図解します。

参考:環境省|廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)、資料1 業種追加の検討「動物の死体火葬・埋葬業者」について
自分で送り出すには
葬儀屋さんに依頼せず、自分で送りだす場合にどうしたらいいのか、具体的に説明します。
遺体の安置
まず、亡くなったペットを火葬、土葬するまでの間、遺体を安置しなくてはなりません。
人間同様、ペットたち生き物は亡くなると「死後硬直」が始まります。
そのため、以下のように遺体を安置します。
・体液が染み出すこともあるので、底に新聞紙やペットシーツなどを敷き、さらに大きめのタオルなどを敷いて、その上に遺体を置きます。
・身体が伸びきっているようなら、完全に硬くなってしまう前になるべく手足を優しく曲げてあげます。
・汚れているところがあれば、タオルやガーゼで拭きとり、ブラッシングをしてあげます。
・頭やお腹に保冷剤を入れて、室内も極力低く設定します。
・寂しくないよう、横にお気に入りのものを一緒においてあげます。
火葬の方法
ペットの亡骸を、公園の空き地や山の奥埋めようと考える人もいるでしょう。
しかし、公共の場所や他人の所有地など『自分の私有地以外の場所』に埋めるのは「不法投棄」となって法律違反となります。もちろん川や湖などへ流すと、「水道汚染」にあたり、刑法に触れてしまいます。
自分の庭に埋めたとしても、衛生面でのリスクがあるなど、現実的に難しいのです。
そこで、「各自治体」や「民間の火葬業者」では、有料で火葬を受け付けています。
費用はまちまちですが、自治体が安価です。
ただし、自治体では副葬品を一緒に火葬できなかったり、遺骨を残さず灰にしてしまいますので、お骨の拾い上げはできません。
一方でペット霊園や火葬業者では、個別火葬によって遺骨を返してもらえるところがあります(業者によっては合同火葬もありますので、確認が必要です)。
中には、移動式の火葬車で訪問して、飼い主立ち合いのもと個別で火葬してくれる出張サービスを提供する業者もあります。
遺骨を残す場合には「骨壺」を準備して、個別火葬業者さんの指示に従って「お骨ひろい」をして、そのあとにお墓へ埋葬したり、自宅で供養したり、また海へ散骨する場合などもあります。
少なくとも、火葬まで行ってあげれば、ペットは安らかに旅立つことができるでしょう。
お墓や埋葬について

遺骨を残さない場合、お墓への埋葬の必要はありませんが、最近ではその後の供養のために、霊園のお墓を利用する飼い主さんも増えてきています。
もちろん、お墓を用意しなくてはいけない、ということもありません。
よく、「人間と同じお墓にペットも一緒に入れちゃダメ?」という質問を目にしますが、もちろん入れてはいけないという法律や決まりはなく、ただ倫理的な理由で動物と一緒にすることに抵抗感がある人が多いことや、霊園や墓地で禁止していることなどからNGだと思われている風潮もあるようです。
例えば、民営の墓地や霊園であれば、ペットと一緒に入れるお墓があるのです。
すでに一族が公営の墓地にはいっているなら、ペット用のお墓を準備することになるでしょう。
供養について
墓参りや供養の理由は、宗派や地域によって様々ですが、亡くなった人への感謝の気持ちを示すものだったり、大切な人との絆を感じたりして、残されたものの心の支えとするためのものです。
ペットに対しても同様で、それを形にするもよし、心の中で思うもよし、表現の仕方は人それぞれだと考えます。
とは言いながらも、2004年に全国で600件程度とされていた、ペット霊園・葬祭施設の数は、2021年7月時点で、およそ 2500件まで増えていて、人と同じように供養したいと考える飼い主が増えていることは確かです。
ペット霊園になかなか足を運べないという飼い主さんや、自宅でも供養をしたいという飼い主さんのために、ここ最近では、自宅で供養できる「ミニお墓」や遺骨の一部をアクセサリーやオブジェにする「メモリアルグッズ」なども普及しています。
以前は考えたこともなかったですが、先代の猫がなくなった時には生前の写真も少なく、もっと思い出を残すべきだったと、後悔していることも事実です。
新しく用意しなくても、大好きだったおもちゃやおやつなどを写真と一緒に飾っておくことで、いつまでも身近に感じ、想いをつなげるのではないでしょうか。
まとめ

ペットとの別れについてのルールはありません。
家族や親族と悲しみを分かち合いたいという人もいれば、一人でひっそりと送ってあげたいと思う人もいるでしょう。
送ってあげることは、形ではなく気持ちだと考えます。
かわいい子たちとの別れに、悲しみにくれてしまうのは仕方のないことですが、
引きずってしまうのは、あの子たちも望んではいないでしょう。
飼い主の悲しい姿を見た子たちは、きっと自分のせいだと責任を感じているかもしれません。
そしてもう一つ、誰もが考えてしまうことと思いますが、
「生前、あまり可愛がらなかった、遊んであげられなかった」
「あの時、ああしてあげられなかったことが亡くなってしまった原因ではないか?」
……という自責の念です。
決してあなたのせいではなく、その子が天寿を全うしたのです。
間違いなく、幸せだったはずです。
なので、かわいがったこと、遊んで楽しい思いをしたこと、ご飯をあげてうれしい顔をしていた姿を思い出すこと、つまり
私たちが前を向くことで
あの子たちは、迷わずに虹の橋を渡ることができる
と考えませんか?



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